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シロガネ山のふもと

感想・ポケモンブログ

平山夢明「恐怖全集 怪奇心霊編①②」 感想

小説 感想

作者の平山夢明(当時:デルモンテ平山)さんが、方方の人に聞いて回った怖い体験談を、筆に起こしてまとめた本です。

表題の「怪奇心霊編」だけでも全6冊あるらしいのですが、前期として①②巻の感想をばと。

 

1冊に50超の怪談が収録されていて、シチュエーションもバラバラ。

自宅だったり、引越し先だったり、旅行先だったり、何の変哲もない帰り道もあり…。

心霊っていうのはどこにでも有り得るんだってことが追体験でわかります。

 

ちなみに僕が一番好きな話は2巻最後の「お願い変わって」です。

ネタバレはしたくないので話の詳細は書きませんが、心霊的な怖さ以外にも話の妙があるのです。

今数えてみたら4Pしかない話で、収録されている中でも最短クラスなのですが、衝撃度は最高でした。

心霊に悩まされる原因が、後から書かれるパターンはとても怖いです。何故この幽霊が体験者の近くに出てきたのか。

その理由がわかると、途端に、それまではもやもやとしていた幽霊の輪郭がはっきりして、恐ろしく見えてきます。

幽霊というチカラが人間味を帯びてくると言えます。

 

読んでいるときは50超の心霊怪談集ではあるのですが、こうして1つの話を振り返ってからパラパラと見返してみると、

文のテイストにも話に寄って違いのあるのがわかります。

勿論、「集まった怪談を読者に伝える」がコンセプトですから、基本的には淡々としたものではありますが。

大きな違いとしては平山さん自身、もしくは平山さんの主観が出て来るものでしょうか。

「多分、~で」といった主観によるフレーズ一つ加わったことで恐怖や想像が膨らむものもあれば、

話を提供してくれた人に対してオッチョコチョイだなどと書くところから始まり、箸休めのように笑わせにきている話もありました。

膨大の量の話を聞き集めて厳選するだけでも一苦労でしょうに、伝え方も工夫されているのがよくわかります。

これを全6巻とは物凄いです。そりゃ自宅で心霊現象も起きるってもんです。

 

読みやすいけど読み応えのある本です。

 

また、読後も恐怖が尾を引きます。何だかどこにでも幽霊が居て、自分を見ているような、怖がっていることも見抜かれているような気分になります。

これは、やや個人的な感覚かとは思いますが、1編ものの長編ホラー映画や漫画小説ではこうはなりません。

やはり一度に沢山、かつ様々な怪談を追体験するという、怪談集というものならではの特性でしょう。

読んだ後、全ての話は思い出せなくとも、色々な場所で幽霊に出会ったという感覚は残るのです。

 

 

今では幽霊の実在に対して否定的になってしまっている僕ですが、それでも怖いなという気持ちは子供の頃から変わりません。

90年代の企画ということも手伝っているかも知れませんが、怪談集というものそのものに懐かしいイメージがあります。(93年生まれ)

怪談に恐怖する気持ちと、またその恐怖を楽しむ機会が現在もあるというのは嬉しいことです。

 

以上、平山夢明「恐怖全集 怪奇心霊編①②」感想でした。